Sony Group Corporation (TYO:6758)
3,130.00
+3.00 (0.10%)
May 7, 2026, 3:30 PM JST
← View all transcripts
Fireside Chat
Jun 13, 2025
こんにちは、指田です。今年度よりソニーセミコンダクターソリューションズの代表取締役社長、CEOを拝命しました。どうぞよろしくお願いいたします。本日はご覧の内容について説明します。 初めに2024年度のレビューです。I&SSは経営の方向性として収益性を伴う成長を掲げていますが、第5次中期の初年度にあたる2024年度はいくつかの成果を上げることができたと考えます。まず売上高、営業利益はともに過去最高を更新することができました。これを後押ししたのがモバイルセンサーの事業であり、センサーの大型化が期待どおりに進捗した一年となりました。さらに2019年度以来5年ぶりとなるフリーキャッシュフロー黒字化を実現しました。 一方、課題認識として我々を取り巻く事業環境の不確実性が増しています。また利益率は一昨年に比べ改善したものの、収益性の回復は道半ばです。事業運営の難易度が上がっている中でも、収益性を伴う成長を確実に実現すべく、変化に対応力を高めていく必要があると認識しております。 続いて中長期の事業の方向性について説明します。I&SS分野では各事業を大きく3つの領域に分類し、それぞれの方向性を踏まえて事業を運営しています。成長牽引事業領域であるモバイル用イメージセンサーは、競争に勝ち抜くための技術力強化と成長投資を継続します。収益事業領域は安定した収益貢献を目指します。戦略事業領域については将来のビジネスの柱に育てるべく、長期視点で取り組んでいきます。同時に市場の動向や事業特性を見極めながら、I&SS分野全体の収益とのバランスを踏まえ、メリハリと規律を持った事業運営を重視していきます。 こちらはイメージセンサー金額市場の見通しです。モバイルイメージングはスマホの製品市場が3年前に底を打って以降、非常に緩やかに回復していることに加え、センサーの大型化も順調に推移していますので、引き続きセンサー市場全体の成長を牽引していくと見ています。センシング領域も中長期で緩やかに成長していく見込みです。カメラ領域では一眼カメラの高付加価値機種の需要が堅調であることに加え、動画需要によりハンドヘルドなど新たなセット製品の市場が拡大しています。まだ全体に占める金額はわずかですが、今回からそれらも市場見通しに織り込んでいます。昨今の不確実な事業環境を鑑み、市場動向は注視していく必要があるものの、全体としては昨年度に比べ2030年度まで見通しに大きな変更はありません。 このセンサー市場全体の成長を牽引するドライバーは動画です。動画性能の向上を通じてクリエーションの可能性を拡大していくことが我々の中長期的な成長機会だと考えています。I&SS分野はクリエーションに貢献するため、中長期の技術開発の方向性としてイメージングとセンシングの融合を掲げています。2Dのイメージングに対して深度、時間、スペクトルといった別次元の情報を組み合わせることで、イメージセンサーの提供価値をさらに向上させていきます。 そしてこの中で最も進化が求められているのは全体のベースである2Dイメージングの技術です。この2Dイメージングの技術進化を牽引するのはモバイルカメラです。動画は静止画と異なり、高度な処理に時間をかけることが難しく、その性能をリアルタイムに発揮することが求められます。すなわち動画によるリアルタイムクリエーションを実現するには、ここに示す5つの特性の五角形を拡大することが不可欠となります。 モバイルカメラにおいてまず感度、ノイズ、またダイナミックレンジを高いレベルで実現することが大前提となります。これらは高画質化において最も重要な特性であり、動画においてもそれは変わりません。その上で動画性能をさらに高めるための進化軸として解像度があります。高精細な映像を実現するだけでなく、高速化によるズーム性能の向上がより求められています。一方で高速化をするとデータ量が増加するため、読み出し速度の進化も必要になります。リアルタイム性が求められる動画においては速いフレームレートを実現しなければなりません。同時に消費電力も上がるため、これらを低電力で実現する技術も必要になります。このように一部の特性だけでなく、各特性のトレードオフを解消しながら、5つすべての方向で総合的に進化させていくことが重要です。このセンサー技術の総合力こそが我々の強みであり、動画活用の広がりとともにこの優位性をさらに強化できると考えております。 これまで我々のモバイルセンサーはまずは多眼化、そして大型化によって技術を進化させ、事業成長を遂げてきました。特に大型化は先ほど述べた特性進化に大きく貢献しています。大型化は現在も順調に進捗しており、少なくとも2030年度までこのトレンドは進むと見ています。一方、さらなるセンサーの特性進化を通じてリアルタイムクリエーションを実現するには、大型化のみでは限界があります。我々は次の進化のドライバーは高密度化だと考えています。 高密度化を実現するのはこの2つのテクノロジーです。1つはプロセスノードの微細化により平面方向に高密度化を進めます。2つ目は多層化により垂直方向に高密度化を図ります。センサーの限られたスペースの中で縦と横2つの方向で高密度に素子を実装することで、センサーの特性を高めることができると考えております。 まずはプロセスノードの微細化について説明します。既存の成熟プロセスは画素サイズの大小にかかわらず、センサーの特性とコストのバランスを踏まえた活用が可能ですが、特性を高めていくという点では限界に近づいています。この限界を突破するには、イメージセンサーとしては先端となるプロセス技術を新たに立ち上げることが不可欠です。いずれのプロセスも目的に応じて使い分けることで共存が可能ですが、動画を起点としたリアルタイムクリエーションに貢献していくためには、高密度化を実現する先端プロセスの微細化が必要になると考えています。 もう1つは多層化です。具体的には我々の強みである積層技術を進化させた3層積層の技術です。従来の画素とロジックの間に異なる機能を積層することができ、さらなる特性強化が実現できます。すでに商品化した2層トランジスター画素構造も垂直方向の高密度化を実現した3層積層の一例です。これに限らず3層の組み合わせには様々な可能性があると期待しており、今後の重要な技術進化軸であると考えています。 プロセスノードの微細化と多層化による特性強化の一例を説明いたします。例えば、先端プロセスは様々な技術と組み合わせることによって感度やノイズ、ダイナミックレンジ向上に貢献します。さらにRGB画素と被写体の変化のみを捉えるイベントベースビジョンセンサー、そしてロジック回路の組み合わせを3層で実現することで、高精細かつ高フレームレートな動画撮影が可能になります。このようなプロセスノードの微細化と多層化の両方を持って、センサーの特性強化を実現していくことが可能になります。 さらにプロセスノードの微細化、多層化は冒頭で述べたイメージングとセンシングの融合をワンチップで実現していくために不可欠な技術です。このように動画を活用した様々なクリエーションに貢献していくために、大型化に加えて高密度化による技術革新に取り組み、さらなる事業成長につなげていきたいと思います。 収益事業領域に位置づける一眼カメラ用のセンサーもモバイルカメラと同様、動画性能において進化の余地が大きい領域です。また感度、ノイズが起点になる点も同様で、これはモバイルよりはるかに大きいフルサイズのセンサーを重視していることにも表れています。その上で近年は解像度も求められていますが、そのためには多画素化が必要となります。同じセンサーサイズであれば今までよりも小さい画素が必要となります。それにより犠牲になったダイナミックレンジを再強化することが1つの進化の方向です。 もう1つの方向性として読み出し速度の向上です。大型なセンサーであるがゆえ、動画のフレームレートを向上させるのが難しく、ここに技術的なチャレンジがあります。またフレームレートを高める一方で、それを低電力で実現しなければならない点もモバイルカメラと同様です。 近年一眼カメラの性能として注目が集まっているのは、読み出し速度の進化にも関わるグローバルシャッター技術です。2023年にソニー株式会社から商品化されたα9 Mark IIIは世界初となるグローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載していますが、これは我々が手掛けたセンサーです。グローバルシャッターは静止画だけでなく、動きのある被写体を撮影する動画においても新たな価値を提供する技術です。一眼カメラ市場は高付加価値機種を中心に堅調に推移していくと期待しています。今後もソニーグループ間の連携により技術競争力を強化し、安定的な収益貢献を目指します。 また動画により成長している市場もあります。ユーザーの動画撮影や視聴環境の変化を捉え、ここに示すような新しいタイプのカメラ市場拡大が進んでいます。これらは動画のニーズが広がっている証左だと考えています。我々はこの領域に対してモバイルセンサーを相互に活用し合うことで、効率的な事業運営を通じて新たな収益機会として成長させる方針です。 続いて戦略事業領域について説明します。まずは車載事業です。車載における成長ドライバーは引き続き多眼化です。車両の台数市場に対する車載カメラの数量市場の成長は2030年度に向け2019年度比で7倍以上を見込んでおります。昨年度時点と比べてもさらなる進展が期待されます。EVをはじめとした車業界全体の動向は注視していく必要がありますが、車の知能化に伴い車載カメラの認識性能の重要性は確実に増しています。 車載カメラは被写体を認識する目的であり、イメージセンサーの動画性能がカメラの性能に直結するという点では他の領域同様です。一方、同様に特性の五角形を表現した場合、技術の起点は車載特有であるダイナミックレンジとLEDフリッカーの抑制の両立となります。この特性を前提としつつ、1つの進化の方向性として自動運転の高度化に伴い長距離を認識するニーズが高まっているため、より小さな画素で多画素化することによる解像度の向上が進んでいます。同時に画素を小さくすることで犠牲となる感度やノイズの再強化も重要になります。 もう1つの方向性としては、ダイナミックレンジをさらに強化するために複数のフレームを合成する手法が採用されており、そのためにも読み出し速度が重要になります。しかし読み出し速度の向上は消費電力の増加にもつながるため、センサーの高温特性や発熱対策がさらに求められています。車載領域においても各特性のトレードオフを解消し、総合的に進化することが重要となります。 市場が拡大する中でセンサーの特性の総合力を一層強化し、グローバルのOEMやパートナーとのエンゲージメントを高めていく方針です。引き続き第5次中計の最終年度となる2026年度には金額シェアで43%の達成を目指します。また車載領域は事業化から10年以上が経過し、ようやく収益貢献が見えてきました。第5次中計期間中の黒字化は必達の目標として強く意識して引き続き事業運営を進めていきます。 戦略事業領域の中でも成長を見込んでいるのがHAMR用レーザーです。我々はハードディスクメーカーであるシーゲートテクノロジー社と15年のパートナーシップを得て、ハードディスクの容量を大幅に向上させる技術を完成させました。またこの度同じくHAMR技術において長年の実績を持つウェスタンデジタル社ともパートナーシップを結ぶことができました。この2社はハードディスク業界におけるリーディングカンパニーです。この領域におけるI&S事業の顧客基盤は確実に広がっています。データセンターへの置き換えスピードなど、今後の市場動向は注視していく必要はあるものの、HAMRの拡大は中長期的に着実に進んでいくと期待しています。 続いて投資計画と財務指標です。イメージセンサー事業全体としては2025年に金額シェア60%を目標に進めてきましたが、2024年は市場を上回る売上成長を果たせず、シェアは横ばいとなりました。これにより目標の達成は数年遅れになりますが、今後も着実に金額シェアを高め、60%の数字は達成できる見込みです。 設備投資については第5次中計期間においては投資を厳選し、第4次中計比で減らしていく方向には変わりはないものの、最新の見通しでは当初想定比で増加する見込みです。モバイルセンサー事業において特性の強化を目的に高密度化による先端プロセスの導入が当初想定より早まったことや、建設コストの高騰などが主な要因です。先端プロセスにかかる設備投資の金額規模も第5次中計期間のうち約半分を占めるなど、内訳が変わってきています。 最後にROICです。2023年度以降ROICは年々改善傾向にありますが、足元の設備投資の増加もあり、昨年事業説明会でお示しした今中計期間の目標には若干及ばない水準を見込んでいます。今後の成長機会を確実に捉えるために、次期中計期間においては高密度化を支える先端プロセスの量産導入を順次進めていくことを検討しており、これに向けた設備投資の増加により投下資本効率の改善が遅れることが見込まれます。 ROICは引き続きI&S事業の重要経営指標と捉え、その改善に向けては高密度化によるモバイルセンサーの収益性向上と戦略事業領域の利益貢献をドライバーに利益率の改善を図りながら、設備投資については様々なファブライト施策を含めた選択肢を検討し、投資負担の軽減により投下資本回転率の向上に努めます。さらに財務規律として本中計以降はフリーキャッシュフローの黒字を維持し、I&S事業から創出されるキャッシュフローで必要な設備投資資金を賄うことを方針とします。 最後になりますが、I&S分野を取り巻く環境の変化のスピードは早まり、事業運営の難易度もますます高まっています。このような中でも収益性にこだわり、中長期に向けたソニーグループの企業価値向上に一層貢献できるよう事業の成長を実現していきたいと思います。私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。 ソニーグループIR担当の早川です。ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社社長CEOの指田さん、常務CFOの河野さん、CTOの大池さんに資本市場の関心の高いトピックについてお話をお伺いしたいと思います。それでは指田さん、河野さん、大池さん、よろしくお願いいたします。 よろしくお願いします。 まず初めに指田さんからお願いします。 はい。 今年4月にCEOにご就任されました。CEOとして新体制での経営の方向性や抱負などについてお聞かせください。 はい。I&Sのミッションはテクノロジーの力で人に感動を、社会に豊かさをもたらす。この大きな方向に全く変更はございません。そしてこれを実現するのはテクノロジーで、それがすべての価値を創出するベースであります。今現在はイメージセンサーを中心とするイメージセンサー事業が中心でありますけども、その方向性にも変化はございません。私はこれに加えて第2、第3の柱を作りたいというふうに考えております。それを実現する上で新体制のチームにて経営を目指したいと思います。 まずCFOに関しては河野にこちらは継続して財務管理をカバーいただきたいと思います。そして今回新しくCTOを新設して大池に担当いただきます。こちらは既存ビジネスのみならず新規のビジネスを生み出すべく技術をリードしていただきたいというふうに考えております。そして私自身はCEOとしてビジネスマーケットに対して自らが前面に立ち、SSSグループの経営をリードしていきたいと思います。 その中、事業環境は非常に激しく動いているというふうに思っております。なのでそこに対する変化の感度を高く持ち、それに対応すべく複数のシナリオを持ち、自らコントロールできることを集中していきたいというふうに考えております。 ありがとうございます。課題や抱負について何かお話しいただけますか。 はい。まず経営は最後は数字だというふうに強く認識しております。なので事業成長しながら収益改善をしっかりと取り組み、ステークホルダーの期待に応えるように努めていきたいというふうに考えております。 では、それぞれの事業領域についてお伺いしていきたいと思います。まずモバイルイメージセンサー事業からお願いします。今後のモバイルイメージセンサー市場の成長ドライバーとなる技術進化に対する見立てを教えてください。プレゼンテーションでは多眼化、大型化の次のトレンドは高密度化とご説明いただいていましたが、その背景などについて教えてください。 はい。成長ドライバーは継続的に動画であるというふうに考えております。動画によるクリエーションの広がり、これは個人が動画を撮って楽しむということのみならず、ソーシャルメディアを通じてアップロードする、このような需要が非常に高まっております。そしてこの先より高画質なものをアップロードするということがより求められてくるというふうに考えられております。 動画性能を決める大切な要素は5つの特性になります。こちらはプレゼンテーションでお話ししたとおりでございます。感度、ノイズ、ダイナミックレンジ、解像度、読み出し速度、消費電力、こちらの特性を進化させることが非常に重要になってまいります。これまでは多眼化によって機能をアップし、大型化によって画質をアップ、それをやってきましたけども、それに加えて今後我々は高密度化を適用したいというふうに考えております。 横方向には先端のプロセス技術を乗せていく、イコールプロセスノードを微細化させていくということをやっていきたいと思います。そして縦方向には我々の得意な技術である積層技術によって多層化を実現したいというふうに思います。これを加えることによって動画の性能がアップするというふうに我々は考えております。 大型化のトレンドは一巡するということでしょうか。 少なくとも2030年頃まではまだ大きくなるというふうに予測をしております。今後はこの大型化に加えて今ご説明差し上げました高密度化、こちらを適用することによってカメラの性能、動画の性能アップを目指したいというふうに考えます。 ありがとうございます。よくわかりました。それでは次に大池さんに技術の話を少し掘り下げてお伺いしたいと思います。高密度化という技術の競争軸になったときに、今までの競争優位を維持できるのでしょうか。ソニーの強みと今後強化していく領域について教えてください。 はい。競争力の観点では当社の強みはセンサー特性を総合的に高める技術力だと考えています。センサーの5つの特性をトレードオフを解決、両立しながらバランスよく拡大していく技術力で優位性を築いてきました。この総合力をさらに高めるために必要な進化が高密度化、先端プロセスノードの微細加工技術と積層技術による3層積層構造への進化を今後確実に立ち上げていくことで、この競争力、優位性を高めていきたいと考えています。 なるほど。プレゼンテーションの中でプロセスノードの微細化と多層化というキーワードが出てきましたが、この点について改めて教えていただけますか。 はい。プロセスノードについては半導体製造に用いるより微細なプロセス技術と、これまで既存のプロセス技術を使って開発してきたイメージセンサーの様々なテクノロジーを組み合わせることによって、限界に近づいてきた特性をさらに向上させていきます。これは画素の大きい画素、小さい画素に関わらず素子を高密度に実装できるので、今後計画している様々な製品ラインナップに適用していくことができます。一方で性能とコストのバランスを追求する場合は成熟プロセスを活用してまいります。先端、成熟それぞれで役割があり、目的に応じてプロセスを微細化させていくことで保有する設備を効率的、効果的に活用していきます。 積層技術については従来よりSSSの強みです。これをさらに多層化していくのが技術進化の方向性と考えています。3層積層は応用の可能性が非常に広く、2層トランジスタ画素やRGBとEVSの組み合わせも一例です。様々なバリエーションがセンサーチップとロジックチップの間に何を実装するかで考えることができます。 ありがとうございます。今後の展開っていうのはどうでしょうか。例えば今そのAIの進化っていうのも非常に注目されていますけれども、そういったところとの関連性も含めてご説明いただけるとありがたいです。 はい。高密度化はSSSが中長期技術戦略として示しているイメージングとセンシングの融合にも寄与してまいります。ベースとなる2Dイメージングの進化はもちろん必須として、その2DイメージングにDEPSをはじめとする3D、4D、5Dをワンチップで実現するには3層積層が不可欠です。これは長期的にはモバイル以外の様々なアプリケーションにも展開が可能で、高密度化で培った技術はイメージセンサーの全般に寄与してまいります。 加えて将来AIが進化していくことを見据えると、AIが付加価値を生み出しやすい情報、それを出力できることがセンサーの価値を高めると考えています。カラー画像に加えて様々な次元の情報を付加できることがSSSの強みです。このように高密度化の追求はAIの技術革新の方向性とも合致していると考えています。 よくわかりました。高密度化への注力は競合他社による画素の微細化に対する勝ち筋になるんでしょうか。 はい。画素サイズに限らず高密度化はセンサーの特性強化と機能拡張に貢献していきます。もちろん高密度化は微細画素にも貢献しますし、解像度はセンサーの5つの特性の重要な進化軸の1つです。一方で微細加工技術のみでイメージセンサーの特性が決定づけられるわけではありません。SSSはあくまで映像として求められるすべての特性をバランスよく拡大していく技術力を重視して価値創出を図ってまいります。 それでは次に高密度化による業績貢献の考え方について教えてください。高密度化がモバイル向けイメージセンサーのマージンを押し上げる要因になるんでしょうか。多眼化は数量増、大型化はASP上昇で収益性に貢献してきました。これらと比較してどれぐらいアップサイドが見込めるのでしょうか。 これまでのスマホのカメラは多眼化によってカメラの機能アップ、そして大型化によって高画質化に貢献してまいりました。すべてこれはトータルのカメラのシステムの性能アップのために我々はしてきたことでございます。そしてこの性能アップはお客様から望まれていて、我々は実現してきたということでございます。なので今回の高密度化、こちらは1センサーあたりの価値を高める技術であるというふうに我々は考えております。これを実現することによってお客様は我々の付加価値を認めてくれるというふうに考えております。現時点ではどれだけのマージンということは言えないんですけれども、技術的に他社に先行することで我々は今のポジションを築いてきておりますので、それを継続できるというふうに考えております。 それではモバイルイメージセンサー以外の事業に関してもお伺いしていきたいと思います。戦略事業領域の立ち上がりの進捗について教えてください。将来の売上、利益のドライバーとして期待できるのでしょうか。モバイルセンサーにフォーカスするという考えはないんでしょうか。 はい。おっしゃるとおりモバイル向けのイメージセンサーが今我々SSSのビジネスの柱でございます。こちらは2030年までは変わらないというふうに我々は見ております。一方でどうしてこれが実現できたのか、それは我々のイメージセンサーの総合力によるものです。つまり幅広いアプリケーションに対して我々はイメージセンサーを開発していく、そのことがソニーのイメージセンサーの総合力であり、そのことによってそれぞれのアプリケーションに対してシナジーが生まれてくると、これが我々にとって最も重要なことだというふうに認識しております。 その上で戦略事業領域、こちらは例えば車載事業になりますけども、まず車載向けのセンサーに関しましては売上、シェアともに中期計画を上回る状態で進捗しております。なので将来的には売上、利益貢献を見込んでおります。また3Cの視点においても非常にポジショニングとしては良いというふうに考えられます。なので我々将来は安定した収益が得られることだというふうに見込んでおります。 もう1つ昨年この場で発表しましたHAMR向けのレーザーにおいてですけども、こちらに関しましても2024年度に量産をスタートいたしました。しかしながらすべての領域において市場の成長性をしっかりと見極めながら開発費のかけ方、こちらを慎重に判断してSSSの全体の経営としてはメリハリと規律を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。 今ご説明いただいた車載向けイメージセンサーについてもう少し詳しく説明をさせてください。EV市場の停滞や関税など、自動車産業は先行きが不透明という見方もあります。車載向けイメージセンサーの事業リスクにはどのように対処していこうとお考えでしょうか。 はい。ご指摘のとおりEV市場は停滞して不透明性を増しているということは我々の認識も同じでございます。一方で車の知能化によってADAS、AD、こちらに対する進化はますます発展しているという状況でございます。そこに搭載されるセンサーにおいては1つ1つは高性能化し、またスマホのように多眼化の進化が今進んでいるという状況でございますので、EV市場の停滞はあれどイメージセンサーの市場、こちらに関してはあまり大きな影響はないというふうに読んでおります。 その中で我々はグローバルのお客様とのコミュニケーションは非常によくできているというふうに考えておりますので、我々のポジショニングは非常にプレゼンスとして高まっているというふうに理解しております。なので全体において我々のこのイメージセンサーのビジネスは決して悪くない状態にあるというふうに理解しています。 一方でこちらも皆様ご存知のとおり中国市場においてはEV化がシェアが伸び、そして中国のOEMがシェアを全体的に上げるという動きが拡大しております。なのでこの状態においてやはり地政学等々の環境の変化、こちらの感度は我々は高めていって中国に対してどういうビジネスが最適であるのかということは適宜対応していきたいというふうに思います。そして関税においては我々が直接関税の影響を受けることはないと思うんですけども、車の売上自体が停滞する可能性があるというところに関しましては注視していきたいというふうに考えております。 ありがとうございます。それでは次に経営数値目標などについて河野さんにお伺いしていきたいと思います。為替の追い風もある中で直近はマージンが上がらない状況が続いています。その要因を売上、コストそれぞれの側面からどのように分析なされているのでしょうか。今後の収益性改善に向けた時間軸についても教えてください。 はい。まず売上につきましては私どもの主たる事業でありますモバイルセンサーにつきまして、為替の状況を排除しましたドルベースの売上につきましては2021年から2024年にかけて年平均成長率11%を実現しています。ただこの売上の成長の中でマージンが十分上がっていないという点についてですが、5つほどの要因がございます。 まず外的な要因といたしまして2つほど。1つ目は地政学リスクによってモバイル市場の構造が大きく変化いたしました。現在においても中国において特にハイエンド市場において中国のメーカーのプレゼンスが低下しているという部分が続いています。2点目がコロナの環境において需給環境の変化によりファウンドリーのプライスが大幅に上昇しました。この価格は依然高止まっている状態です。ただ世界中で多くのファブが立ち上がっている状況で中長期的には当社にとっては良い状況になるということを期待しています。 一方で内的な問題といたしましては3つほどございます。まず最初にモバイルセンサーの歩留まり問題です。これは2年ほど前に直面した問題でして、昨年もその影響は引き続き継続いたしました。ただ当社のエンジニアの不断の努力によりまして2025年度においては通常に戻っています。続いて2点目が戦略事業領域の立ち上げ遅れです。この領域につきましては長期的目線で非常に重要な事業であるというふうに考えておりますが、I&SS事業全体の収益状況に鑑みてメリハリのあるマネジメントを続けていきたいというふうに考えています。3点目が大型化による投資の増加です。大型化ということ自体は当社にとってはより良い方向ですけれども、前中期においてはそのペースが少し想定よりも早かったことにより投資を前倒し実行いたしました。ただ足元におきましては既存プロセスにおける投資は一巡しており、先端プロセス向けの開発投資を前倒し実行しておりますが、現在は投資と償却費がバランスしている状況にあります。 現在開示しているイメージセンサー金額シェア60%、およびROIC20%という数値目標について、それぞれいつ頃、どのようにすれば達成可能とお考えでしょうか。まず金額シェアについて教えてください。 はい。まず金額シェアですけれども、2024年度は前年と横ばいという形となりました。これはモバイル市場全体の成長に対して当社の成長がそれを上回ることができなかったということになります。この要因は大きく2つほどございます。まず第1点目が私どもの主要顧客の販売が当初の想定に届かなかったということになります。もう1点目が中国におけるハイエンド領域において特にコンペティターの競争が激しくなっており、この部分で少し苦戦をしたという部分がございます。 この件に関しましては本日もご説明したとおり5つの機能軸がございます。当社はこの機能軸をバランスよく製品に仕上げるということが私どもの強みとなっていますが、この技術をより一段昇華させるということがございます。加えてそれぞれの技術に対する新しいものをできるだけ早く市場に投入していくということがもう1つのポイントになろうかと思います。この件に関しましてはCTOの大池がエンジニアをリードしてこの市場において盤石な体制を作ってくれるものというふうに信じております。 今後のシェア目標ですけれども、目標達成といたしまして60%というのを置いておりましたが、残念ながらしばらく遅れる想定をしております。ただ私どもはこの市場において勝ち切るということの目標に変化はございませんので、60%の目標は変えず事業運営していきたいというふうに考えております。 ありがとうございます。ROICについてはどうでしょうか。 はい。ROICですけれども、2023年度以降数字そのものは年々改善傾向にあるというふうに考えております。ただ昨年の事業説明会でお示しした数字に関しては第5次中期期間中に目標に若干及ばない想定をしています。この背景は高密度化による先端プロセスの主に開発投資が当初想定よりは早まったことが主な要因となります。これにより第5次中期計画におけるイメージセンサー向けの設備投資については前回の中期比で減少するという方向性に変わりはないものの、最新の見通しでは金額そのものは少し増額する想定をしています。 ROICにつきましては引き続き重要な経営指標です。ROICの改善には利益率の改善と投下資本効率の改善の2つの側面があります。利益率の改善につきましては高密度化によるモバイルの収益性向上、並びに戦略事業領域の利益貢献をドライバーにして改善してまいります。投下資本効率の改善につきましては設備投資をいかに効率よく行うかということになりますが、市場環境は非常に不透明な環境ではございますが、本日ご説明した高密度化による先端プロセスの導入という部分を次期中期に向けて行ってまいりたいというふうに考えています。 その結果、次期中期計画におけるイメージセンサー向けの設備投資総額は前中期期間の規模感に近いものになる可能性があるというふうに現在考えております。ただ投下資本効率を改善するために投資を適切なレベルに抑制するため、様々なファブライト施策を含め最適な在り方は検討を続けていき、その効率向上に努めてまいります。また足元では5年ぶりにフリーキャッシュフローが黒字となりましたが、この黒字を維持しI&SS事業で創出されるキャッシュフローの範囲内で設備投資を行うという規律の中で運営を続けてまいります。 ありがとうございます。ROIC20%の目標は維持するのでしょうか。その場合いつ頃達成できるとお考えですか。 長期的には20%を目指していきたいというふうに考えております。ただ現在の事業環境下では達成時期を明確に見通すことは難しいというふうに考えております。今後はファブライトを含めた様々な施策を検討する中で見直しを図っていきたいというふうに考えております。 それでは最後に指田さんにお伺いします。I&SS事業はどのようにソニーグループに貢献していくのでしょうか。 はい。ソニーグループのパーパス、それはクリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たすでございます。私はソニーは映像の文化を作ってきた企業だというふうに思っております。我々I&SSはそのソニーの一員としてイメージセンサーというデバイスの切り口でCCD時代から今のCMOSセンサーに至るまでソニーの一員として新しいイメージングの世界をクリエイトして世の中に感動をもたらしてきたというふうに理解しております。それはこれからもお客様、市場、ステークホルダーから期待されていることだというふうに思ってます。我々はイメージング、そしてセンシングのテクノロジーを極めて新たな市場をより作っていく、そのこと自体が今後もソニーグループへの貢献だというふうに信じております。 ありがとうございます。本日はソニーセミコンダクタソリューションズ、指田さん、河野さん、大池さんに様々な質問にご回答いただきました。皆様どうもありがとうございました。 ありがとうございました。